こんにちは!
Wixを専門とするホームページ制作会社、アクトワン代表の和田英也です!
今回もウェブアクセシビリティについて発信いたします。
WixLearn 第5回のWrite for accessibilityではアクセシビリティ対応のインクルーシブ・ライティングについて詳しく解説いたします。
ホームページのコンテンツを作成するときは、自分の書いたテキストをできるだけ多くのユーザーに 快適に読んでもらえるようにしたいと思いますよね。
インクルーシブ・ライティングは、特定の人々に対する偏見や固定概念、差別的・暴力的な視点を反映する言葉やフレーズを避け、あらゆる人を包摂するために意識的に文章を書く方法と言われています。
潔癖的に表現を正し、制限することではなく、意識的に使用する言葉を決定するための方法と位置付けるのが良さそうです。
なぜインクルーシブ・ライティングを意識する必要があるかと言われると、「固定観念や偏見に基づいた表現が、受け手を傷つけ、損害を与える可能性があるから」ですが、製品やサービスを開発している立場からすると、より多くの人を巻き込むためにインクルーシブな表現に努めることは、ユーザー体験の向上といった意味でも重要になります。
それでは早速本題に進みましょう!
今までのWix Learn アクセシビリティ講座要約
SECTION1Formatting your content
1.1つの段落に1つの要点をおく
まず最初の文を読んでみましょう 。
「私は1つの目標を胸に抱いてこのベーカリーを創業しました 。その目標とは私たちの祖先が食べていた品質のよいパンを蘇らせるというものです。」
短くて良い文です 。
そのすぐ後に 新しい段落に飛びます。
これがとても重要なのです。
このセクションでは 1つの段落に1つの要点しかありません。
このようにすると、読み手が内容を把握しやすくなります。
2.箇条書きなどを使いテキストを分割する
次の文に移りましょう 。
「私たちにはたくさんの選択肢があるかもしれません。しかし私たちが食べているパンはどれも同じ 3つの基本の材料からできています。それは・小麦 ・水 そして・技術です。」
ご覧のように箇条書きを追加しています。
他にもさまざまな書式設定を使って テキストを分割できます。
そうすることで ユーザーが自分が読んでいる位置を見失わずにテキストに目を通すことができます。
3.リンクをのせるときは文全体を強調表示にする
「当ベーカリーの詳細についてはこちらをご覧ください。」という文です 。
「こちら」という単語だけを 強調表示する方法もありますが 、文脈上はそれで理解できるものの文脈がわからない場合にはまったく意味が通らないものになります。
そこで代わりに文全体を強調表示しました。
SECTION2Best writhing practices
では、テキストの次のセクションを見てきましょう。
「グルテンフリー商品」という見出しです。
最初の段落を読んでみます 。
4.1文を100文字以内(英文は15単語以内)におさめる
「医者の診断から自分がセリアックであり、もうグルテンたっぷりのおいしい商品を食べることができない事が分かったとき、信じられないほど私は打ちひしがれました。 なぜなら 何年も調理師専門学校に通い、ようやく製パンマスターの資格を取得したところだったからです、それは私が人生をかけて情熱を注いできたことでした。」
これはかなり長い文ですね。
先ほどの例で見た ほとんどの文(英文)は15単語未満でした。
多少の上下の幅はありますが、どの文もだいたい 15単語の範囲に収まっています。
これは 15単語よりはるかに多いので非常に読みづらくなっています。
5.偏見や固定概念に基づく表現を避ける
この段落にはもう 1つ問題があります 。
「I was a celiac」という英語の表現方法です。
「be a celiac」のような表現は避けるべきであり、他には「be wheelchair bound」などの表現も避けるべきです。
疾患や運動機能の制限によって 私たちの存在が定義されるわけではありません。
その人の存在を疾患と結びつけて考えるのではなく、
「someone who has celiac disease」であったり 、
「somebody who uses a wheelchair」
「a wheelchair user」という言い方にできます。
無意識的に否定的な解釈が含まれていないか、注意する必要がありますね。
以下をご参考にしてください。
障がい者差別的な表現
障害のある人々について書く際は、その人の障害そのものではなく、個人の業績、人格、メッセージに焦点を当てます。 障害について言及する必要さえない場合もあります。
幅広い障害を認識しましょう。
障害のない人が標準であるかのような言葉を使用しないようにしましょう。
障害を克服すべきものとして扱うことは避けましょう。
障害でその人を定義する言い方を避けましょう。 「個人優先(Person first)言語」を使用しましょう。
一方で、障害が自分のアイデンティティ(特徴)の一部であると考えている人に対しては、「アイデンティティ優先(Identity first)言語」を使用します。
特定の個人やグループについて書くときは、どのように識別されることを好むかを常に尋ねましょう。
6.条件否定文の短縮形は使わない
このセクションをさらに見ていくと「wouldn't」という単語があります。
これは 否定条件文の短縮形です。
条件否定文の短縮形は読者の認知に負担がかかることがさまざまな調査で 示されています。
認知機能に障がいがある人には特に負担になります。
使いすぎないようにしたいところです 。
「I'll」 「I’d」 「They're」などの短縮形は 自由に使ってかまいません。
ですが、条件否定文の短縮形は使わないようにしてください。
7.性差別的な表現は避ける
次に進みましょう 。
「かつて私は テーブルをパンでいっぱいにしてくれとレストランでウェイターやウェイトレスに頼むような男でした。」
ここでジェンダーを限定する必要性はまったくありません 。
「接客係」と言えますし、他の表現としては 「店員」と言うこともできます。
以下をご参考にしてください。
1.性別(sex)とジェンダー(gender)の違いを理解する
すべての個人的な関係は異性愛であるという前提を強化し、同性間の関係の現実を否定するような言葉は避けましょう。
ユーザーから個人データを収集するときは、人の性別を尋ねる必要があるかどうかを検討しましょう。
2.性別に中立な言語を使用して言い換えることができる場合は、性別の二元論を避けましょう。
NG:多様な背景を持つ男女を雇用することで、イノベーションの文化が促進されます。
OK:多様な背景を持つ人材を雇用することで、イノベーションの文化が促進されます。
3.特定の人を指す場合は、その人の名前や外見に基づいてどの代名詞を使用するかを推測しない。 誰かをどのように参照すればよいかわからない場合は、その人に尋ねましょう。
NG:田中太郎さんです。彼はデザイナーをしています。
OK:田中太郎さんです。田中さんはデザイナーをしています。
8.ハイフンで繋がれた単語は避ける
さらに下に進みましょう 。
「after-thought」や 「cash-grab」という単語を使っています。
ハイフンで繋がれた単語です。
どうしてもハイフンで繋がれた単語を使わなくてはならない場合もあります。
イギリスの特定のブランドで使われている Gluten-free という単語はその一例です。
ハイフンが原因でスクリーンリーダーが混乱するだけでなく、視覚障がいのない読者にとっても混乱を招く場合があります。
なので、できるだけ避けましょう。
9.略語は適切な場合と適切でない場合がある
後のセクションには「GF のパン」という表現があります。
略語を使う人がよくいますが、 適切な場合と適切でない場合があります。
略語を使うときは その略語の意味がわからない人もいるということを意識する必要があります。
あなたがその意味を知っているからといって、他のすべての人がその意味を直感的に理解できるとは限りません。
10.文章を読んでいる人が健常者前提の表現は使わない
さらに下に進みましょう。
このような文章があります 。
「店内を見て回ってみてください。きっと期待を裏切らないはずです。愛情込めて作られたパンやケーキ菓子類が見つかります」
「ぜひご来店いただき幅広い商品をチェックしてみてください。」
これはいいですね 。
しかし 「駅から歩いてすぐです」はよくありません。
この文章を読んでいる人が 歩けて、目が見えることを前提としています。
スクリーンリーダーを使って読んでいる人もいるので、このような表現は決して使わないでください。
また 「愛情込めて作られたパンが見つかります」 と言う代わりに、
「愛情込めて作ったパンを取り揃えています」 と言うことができます。
これなら視覚に障がいがある人にもない人にも使える表現です。
文体としてもそのほうが美しく聞こえます。
11.リンクは文脈がわからない場合でも意味が通るようにする
最後に ここにリンクがあります。
文章内のリンクについては先ほど説明しましたね。
文脈がわからない場合でも意味が通るようにする必要があります。
それだけでなく リンクが文章の最後にくるようにする必要があります 。
「グルテンフリーにこだわっている方はぜひこちらをクリックしてください」
これを文全体のリンクにしたい場合、それをすべて 強調表示する必要があり、その際には 強調表示されたリンクの中にアクションがあって、リンクが文章の最後になるようにしなければなりません。
しかしこの文章は リンクとしても意味が通りません 。
「グルテンフリーにこだわっている方は ぜひこちらをクリックしてください」
という文はたとえ文全体を強調表示したとしても、どこに誘導されるのか何も伝えていません。
ですので 文を変える必要があります
12.オンラインコンテンツはテキストを決して両端揃えにしない
このテキストで最後に指摘しておきたいことがあります。
上のテキストは両端揃えになっています。
両端揃えではテキストと文字の間のスペースを押し広げて、両端がすべてまっすぐに 揃うようにします。
昔の新聞では よく使われていて、今の新聞でもまだ使われることがあります。
ですが、オンラインコンテンツとは相性が良くありません。
オンラインコンテンツを作成するときはテキストを決して両端揃えにしないでください。
この文章は大失敗です
最終に修正した文章はをお見せします。
かなり短くなりました。
両端揃えを解除し通して読むとわかりますが 、1つの段落につき要点が 1つになっています。
文はどれも15単語未満で、下を見るとインラインリンクがあります。
「当ベーカリーの幅広いグルテンフリー商品を ご覧ください。」
これなら文脈がわからなくても意味が通ります。
13.その他インクルーシブライティングまとめ
他にもインクルーシブライティングに役立つ項目をまとめました。
ぜひご参照ください。
人種差別的・階級主義的な表現
人の出身国や人種を説明するときは、人種や民族を一般化しないようにしましょう。
例を示す場合は、さまざまな民族性や性別を反映した名前、性別、年齢、場所を使用しましょう。
色に、善悪を割り当てることを避けましょう。 色は、実際の色を説明するためにのみ使用しましょう。
例:ブラックリスト、ホワイトハッカー
自分自身の特権を認識し、階級差別的な言葉の使用をやめましょう。 出身地や職業に関係なく、すべての人を公平に扱いましょう。
地域・文化・宗教依存的な表現
あまり文化的に限定しない。 特に、特定の祝日、文化的慣習、スポーツについては、それらが世界中で知られていると確信できない限り言及してはいけません。
公的な文章では、不必要なユーモアは避ける。 ほとんどのユーモアは翻訳が難しく、多くのユーモアは文化的に特有のものです。
季節について言及することは避けてください。 北半球の春は南半球の秋(秋)です。 代わりに、月、四半期、または気温 (該当する場合) を使用します。
NG:変更は毎年秋にリリースされます。
OK:変更は毎年10月にリリースされます。
宗教的な起源を持つ用語やフレーズは使用しない
NG:メリークリスマス
OK:ハッピーホリデイ
年齢差別的な表現
実年齢だけを理由に、特定の年齢層が多かれ少なかれ能力がある、または典型的な特徴を持っているという固定観念や暗示を避けましょう。 「若くて活気がある」などの表現を避けましょう。
「年上」や「年下」などの用語は相対的なものであるため、文脈に応じて明確に使用しましょう。
参考にしたガイドライン
Write inclusive documentation | Google developer documentation style guide | Google for Developers developers.google.com
General guidelinesGeneral guidelines for creating inclusive content.support.apple.com
Inclusive UX writing - SpectrumEveryone building products has the responsibility to prioritispectrum.adobe.com
Inclusive language - Content - Atlassian Design SystemInclusive language is free from words, phrases, or tonesatlassian.design
University of Idaho Inclusive Writing GuideThis guide provides tips to treat everyone fairly regardlesswww.uidaho.edu
Inclusive writing – Guidelines and resources – Writing Tips Plus – Writing Tools – Resources of the Language Portal of Canada – Canada.caThe main page of the “Inclusive writing” section, which listswww.noslangues-ourlanguages.gc.ca
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